店長日記

画像: 田舎のエビと町のエビ

田舎のエビと町のエビ

2012年09月22日

おい、お前もエビだろう?
水の中にいなくって大丈夫なのか
そんなところをフラフラ歩いていて、
それならここにおいでよ。このガラスを上っておいでよ。

ありがとう
でも、もうとてもそこまでは上がれそうにないや。

俺は、昼間人間どもにつかまっちまって
ここに連れて来られたんだ。
さっきまで、箱に入れられ、部屋の隅に置かれていたが
逃げ出そうと、箱を登って外に出ては見たが
どこまで行っても、ここには川が無い
ふらふらして歩いて来たが
もう、限界かもしれないね


もう少し頑張ってごらんよ
僕のところまでおいでよ
ここはいつも穏やかで、暮らしやすいところだよ
さぁ、もうひとふん張り!


俺はあそこに戻りたいんだ
きらきらと輝く小川

雨の日はかさが増して、流れが急になる
それに身を任せヒューンと飛ぶのも面白い
天気の日には 川面から覗く青空
そして夜には 降る様に輝く星
凍てつく日々も、春待つ思いで寄り添った
一日と同じ日はなかった

ドジョウやフナ、ゲンゴロウにタガメ
威張ったザリガニや ひょうきん者のアメンボウ
あいつら俺を心配してるかなぁ

そんな事言っていないで
早くおいでよ、そのままじゃ死んでしまう

ありがとう
でも、ここは俺の暮らすところではなさそうだ
君はとっても綺麗だね
君らしく今を精一杯 生きておくれ・・・


「店長!
 ヌマエビがこんなところで死んでますよ。」

最初に置かれた場所から6メートルも離れた
架台の下で 
彼の亡骸は浜ちゃんに見つけられた・・・




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