店長日記

誇りを持って生きよ!

2012年04月02日



「オイ爺さん、
例の奴が、隣の水槽まで来ているぜ。
次はうちじゃぁ、ないか。
早く皆に知らせなくっちゃぁ。」

「お~い、皆集まれ。爺さんのところに集まるんだ」

爺さんは皆を集めると、見回すようにゆっくりと話し始めた

「わし達を捕まえに、白いフワフワが隣の村までやって来ておる。
 次はわしらの村じゃて。」

女、子供は悲鳴を上げた。
俺も憤りに似た、理不尽な思いを噛みしめた。
のどかな、俺達の暮らしを脅かす白いフワフワ。
愛するものとの別れ。

「爺さん、どうしたらいいんだ。」

「そうよなぁ・・・
 奴が来たら、ひとまず森に隠れるんじゃ。
 そして、身重な女は木の下にもぐって、じっと息を潜めろ。

 奴が森を揺らし、フワフワと襲って来たら
 全速力で後ろに飛ぶのじゃ。
 それでも、そのフワフワの中に入ってしまったら
 しがみつかずに、そのフワフワを蹴り上げ、
 反動で外に飛び出すようにするがいい。

 もし、お前の大事な者達が捕まりそうになったなら、
 フワフワに自分から飛び込んで行って邪魔をするのも
 よいかも知れぬ。
 フワフワを操っておる奴は、ある一定の法則で
 捕らえに来ておる様じゃ。
 手当たりしだいとか、誰でも良いという訳ではなさそうじゃ。
 お前が奴にとって無用なものであれば、お前をはずそうとするから
 大事なものを守れるかも知れぬ。

 全て 時の運じゃ。
 たが、これだけは決して忘れるでない。
 
 ここから離れて行ったとて、けっして不幸なわけではない。
 望まれて新しい土地で暮らし、仲間を増やす。
 そう、選ばれし者なのじゃ。
 
 俺たちは紅蜂だという、誇りを胸に生きて行くのじゃ。」

ガタッと 音がした。  奴はもうそこまで。
俺達は互いを見つめあう、
それぞれの胸に熱い思いがあふれた。

俺達は 紅蜂なんだ!

 


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