店長日記
誇りを胸にⅡ
2012年04月04日
春は別れと出会いの季節だと言う
奴の操る、フワフワにつかまった俺
遠くなる仲間達、そして故郷の村
何匹かの仲間と
小さなカップから、わけのわからない模様の
ビニール袋へと移された
また何かに包まれ、箱に詰められ
暗闇の中で、揺れながら過ごした
皆 不安でいっぱいだった
この先どうなるのかなんて誰も知らない
未知の世界
やっと揺れが収まり
俺たちは箱から取り出された
眩しい・・・
皆、体を縮めた
次第に目がなれ、周りを見回すと
そこは小さな水槽が 沢山並んだ所だった
その水槽の一つに 俺たちは入れられるらしい
水槽から、チューブで少しずつ水が入ってきた
この水は、村とはちょっと違っている
雑然とした味がする
体に、この町の水がなじんだ頃
俺たちはその小さな水槽に移された
ここで暮らすのか?
広い村が懐かしかった
皆心配しているだろうか・・・
「無事水合わせも終わり、元気です。
なかなか、綺麗な個体ですね。
また、よろしくお願いします。」
男が話している相手は、あいつだろうか
今は、奴のことさえ懐かしく思える
ショップと呼ばれるその場所が
今は俺の住処となった
俺はクッと顔を上げる
髭を思い切り遠くに飛ばし体をそらす
俺はどんな所でも負けないぞ
そう、紅蜂だから